Ferrari F 430

読んだ:「自分の強みを活かすというアホらしい発想」

この記事の所要時間: 69

自分の強みを活かすというアホらしい発想|Chikirinの日記

どうも、Noodle.(@Noodle1002)です。WEB界隈の論客として有名な伊賀…じゃない、ちきりんさんのエントリー読みました。これはその通りだな、と思う部分と、いやそれも大事じゃん?っていう部分がありまして、急遽文章を書きたい気持ちになりました。

まさかと思いますけど、「自分の強みを活かして勝負する」ってのが「いい作戦だ!」と思ってる人はもういませんよね?

この「自分の持っている価値あるものを活かして○○する」という発想法のリスクというか、限界については、しっかり意識しておいたほうがいいです。

これって、あきらかに「供給者視点」であって「消費者視点」じゃないでしょ。そこが致命的なんです。

これちきりんさんも書いてるけど、人だけじゃなく企業がよく陥るポイントなんですよね。優れた技術がある、自分のところの商品が一番だ!という意識を全面に出しており、販促物などへとにかく「強み」を全面に押し出してセールスをかけるわけです。しかし反応は今ひとつ。もっといけるはずだ、もっと頑張れ、もっと努力しろと尻を叩かれ疲弊していくスタッフ達。目標が達成できずいらつく上層部。重苦しい雰囲気の社内。なぜ良い物を作っているのに売れないんだ!

これスペック(性能)主義なんですよね。性能が高ければ良いと。しかしスペックに惹かれるユーザーというのは、その分野に元々興味をもっている、つまり元々セールス対象となっているユーザーのみなのです。なぜそんなことが起こるのでしょうかね。

興味の無い物のスペックなんか気にもしない

「オーガニック栽培された芋を100%使い、その筋50年の匠の手によって1個ずつ丹誠込めて練り上げました。にがりにもこだわり、○○産のものだけを使用。最高傑作のコンニャクです!」とかいう売り文句を聞いて貴方買います?いや僕はちょっと気になるけど。

いくらその商品が(この場合はコンニャク)優れた、こだわりの逸品であったとしても、そもそも興味の無い物の優れた点なんて誰も気にしないし、別に知りたくもないでしょ。それと同じなんですよね。

消費者はその商品を、サービスを手にすることで、どのような利益を得ることができるのかという点に重点を置きます。

例えば服が欲しい。その時手に取るのは新しい特殊繊維でできた丈夫な服が欲しいのではなくて、イケてるワタシ・イケてる僕を手に入れるための服を欲しがっているんです。

例えばゲームが欲しい。その時遊ぶのは技術の限りを尽くした美麗なゲームをやりたいのではなく、プレイしていて楽しい時間を過ごせるゲームを求めているんです。

まぁそういうものって結果的にスペックは高いんですけどね。でも大事なのはその商品・サービスを手に入れることで、どんなベネフィット利益をもたらすことができるのかっていう点につきるかと思います。

カメラに興味が無かった親御さんに「このカメラはAPS-C機ながら高感度にも強くて、画素数もすっごい高くて〜云々」といったところで聞いてすらくれないんですよね。ホントに。これがスペックを伝える例。

でも「このカメラを使ったらお子さんの運動会でもプロ並みの写真が撮れますよ!」と言えば売れるかもしれない。これはこのカメラが親御さんに与えるベネフィットを伝えている例です。

みんな“どうなるのか”が気になる

もっと簡単に言うと「美味しい国産牛だよ!」と言うのがスペック、「この牛肉を食べたらほっぺが落ちるよ!」と言うのがベネフィットってところでしょうか。

この「どうなるのか」を伝えてあげない限り、路面店のお客さんは増えないし、地方の観光客は増えないし、貴方の会社の商品が売れることもないでしょう。もともと興味無いんですもの。興味の無い物の性能が高くっても、興味ないから買わないし使わないんですよ。

だから必死でスペックではなくベネフィットを伝えてあげないといけないんです。で、そのベネフィットがもし分からないとか、そもそも無いんじゃなかろうかとなってしまった商品、サービスは…まぁ何でそんなもん世に生み出したんだよっていうレベルの代物だったということになってしまうのかもしれないですね。

ちなみに結果的にそのベネフィットを得ることができない低スペックな商品・サービスだった場合は、ただの誇大広告だったりするわけで、それも問題なんですよねぇ。

つまり、「コレを使ったら貴方は○○になります!その裏付けはこの性能です!」となるような物を作り、そしてセールスしないといけないってことですね。まぁつまり両方いるよってコトだ。

フェラーリなんかどうよ。クソ高性能なエンジンを積んで、注文者の特注にあわせてレザーシートを手作業で作ったり、ボディカラーをオーダーメイドしたり、すんごい手間暇かけて作ってる。でもクソ高い。なんぼスペックが高いっても値段もそれ以上に跳ね上がられたら殆どの人間はスルーするわけだ。跳ね馬だけに。なんのこっちゃ。でもフェラーリを買う人がいる。世界中に。その購入動機はスペックだけじゃないはず。アレを手に入れることで自身のステータスの証明、周りへの優越感、アレに乗って颯爽とホテルへ駆けつけるカッコいい自分、そんなベネフィットを手に入れるために買ってるのかもしれない。いや車好きが多そう(偏見)だからスペックも動機の一部にはなってると思うけど。でもスペックを比較するのは、やっぱり購入する気持ちが固まってからだと思うんですよね。

スペック(性能)も大事だけど、ベネフィット(利益)を伝えるのはもっと大事だよ

が今回のまとめかな。だから誰かウチの会社連中にも言ってやってくれ…。

それでは、これにて。

追記(2013/03/17 AM9:05):
あ、ちょっと違うというか言葉足らずだなぁと思った点に触れるの忘れてた。

強みから出来てようが、弱みから出来てようが、買ってきて集めた技術から作ったものだろうが、「これが欲しかった!!」みたいなもの作ってくれれば、それでいいんです。

反対に言えばこれからは「これが市場から求められてる!」と思うものなら、外部から人を雇ってきてでもわが社が提供する! という覚悟のある会社じゃないと生き残れない。

これは危険な考え方でもある。なぜなら「コレが欲しかった!」というユーザーの意識って、商品を手に入れてからでないと出て来ないんですよね。だから「コレが欲しかった!」じゃなくて「そうそう!コレこういうのが欲しかった!」なんですよ。なぜならユーザーって自分の欲しい商品って全然分からないから。綿密なマーケティングリサーチとターゲット層へのアンケートを繰り返し、「ユーザーが欲する物」を開発してしまうと、全然売れないってことが往々にしてあります。

なので市場に合わせた商品という名目のもとに商品やサービスを開発してしまうと、それはそれで困ったことになりがちだよってお話でした。

WEBサービスなんかだと、どんどん改善していってユーザーの上回るコンテンツを生み出すことができれば挽回することもできるんでしょうけどね。mixiは挽回できてないけどね。市場に流通しちゃう形のある物、食品だとか家電だとかそういうものだと、“次”の商品じゃないと改善できないからね。

photo by: pedrosimoes7

コメントを残す